会社員からフリーランス転向時の開業手続き

Posted on 2019/01/08

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はじめに

フリーランス開業にあたり、開業時に必要な申請関連をまとめました。申告時の前提としては以下の通りです。

  • 会社員からフリーランスへの転向
  • 会社員は月末退職とし、翌日(翌月1日)からフリーランスとして業務開始
  • ブログ記事執筆は退職前に行っている
  • フリーランスとしての業務開始前に可能な作業は全て終えておきたい

開業までのステップ

税務署への手続き

税務署へ提出書類と記入ポイント

以下書類を開業から1ヶ月以内に提出します。申請が面倒なので最短期日に合わせてまとめて提出が楽です。

厳密には、事業開始から1ヶ月以内、青色申告承認申請書は事業開始日から2ヶ月以内、もしくは1月1日から3月15日までの提出が必須です。

  • 開業届
  • 所得税の青色申告承認申請書

開業届を提出しないと青色申告ができない、小規模企業共済に加盟ないなどのデメリットがある。また、失業手当を受給している人は受給要件が満たされなくなるため合わせて確認が必要です。

開業届の記入ポイントは以下の通り。

  • わからなければfreeeの開業フリーで質問に答えれば作成してくれるため活用すると良い
  • 職業は「ソフトウェア作成者」
  • 屋号を記載する(簡単すぎない文言が良いが、領収書を貰う時用に完結なものだと良い)
  • 事業の概要には「○○に付帯する事業」のように拡張性を持った文言を入れておく。(例: Webシステム構築、Webサイト構築・運営、インターネットビジネス全般及びそれに付帯する事業)
  • 簿記形式は「複式簿記」
  • 備付帳簿名は「総勘定元帳」「仕訳帳」に○をつけて提出。(選択する帳簿は必ず使うものではなく、使う可能性があるものを選択。青色申告時には左記の2つの帳簿が必須になるため2点に丸をつけておく。現金で経費を払う場合は事業主借を使う場合は現金出納帳は不要)
  • 控えも作成し、捺印頂くこと(屋号名で口座開設する時、小規模企業共済申請時などに必要) 青色申告特別控除については所得税、住民税、国民健康保険の節税に繋がるため、申告必須です。MFクラウドやfreeを使うことで個人でも簡単に65万円の控除が可能です。

青色申告承認申請書の記入ポイントは以下の通り。

  • 2部印刷し、1部を控えとして頂くこと

申請タイミング

開業届は開業から1ヶ月以内。

持ち物

印鑑、マイナンバーカード(いずれも用紙記入用。事前に記入していれば不要)

(参考)青色申告による確定申告時に必要な作業

確定申告時に何をしなければいけないかをまとめましたので先に目を通しておくと良いかと思います。

青色申告特別控除を受けるためには「正規の簿記(複式簿記)」に沿った記帳を行い、作成された「貸借対照表」「損益計算書」を確定申告書類に添付することが必要になります。

確定申告時(基本的に3月15日)に「青色申告決算書(損益計算書)」「確定申告書B」「貸借対照表」の3点の提出が必要です。

青色申告の確定申告時の提出書類

先の話になりますが、確定申告時の提出書類は以下の通りです。

  • 所得税青色申告決算書
  • 損益計算書
  • 損益計算書の明細書 ※各月ごとの売上や従業員への賃金
  • 損益計算書の明細書 ※減価償却など
  • 貸借対照表
  • 確定申告書B
  • 1ページ目 ※事業収入や所得控除など
  • 2ページ目 ※源泉徴収税額など
  • 添付書類台紙
  • 源泉徴収票や各種控除の関係書類をのりづけ ※電子申告の場合は不要

管轄の都道府県税事務所および市区町村役場税事務所への手続き

税務署は国税(所得税、消費税、源泉徴収税)に関する手続きですが、地方税に関する手続きは都道府県税事務所、市区町村役場へ「事業開始等申告書」の提出が必要です。

ただし、以下理由により今回は提出しません。

  • エンジニアであるため事業税は対象外
  • 税務署への申告で個人事業税の申告も行ったとみなされる
  • 確定申告時に自動的に県税事務所や市区町村役場に通知される

    また、確定申告時には特に気にする必要はありません。所得税の申告さえすればOKです。

健康保険の手続き

会社員ではなくなるため、会社の健康保険組合から脱退し、国民健康保険へ加入する必要があります。但し、退職後2年間は会社に在籍時の健康保険組合に引き続き加入(任意継続)することができるため、保険料を計算して検討する必要があります。 任意継続する前提で作業内容をまとめます。

なお、厳密には以下の選択肢があります。

  • 国民健康保険への加入
  • 会社に在籍時の健康保険組合への任意継続
  • 家族の扶養に入る

申請タイミング

健康保険組合に問い合わせ要。退職日の翌日から20日以内など期限が短いかと思いますので注意が必要です。手続きは退職前に進めることができることがあるため、加入している健康保険組合に確認してください。

提出書類

健康保険組合に問い合わせ要。「健康保険任意継続被保険者資格取得申請書」などの提出が必要になるかと思います。

年金の手続き

厚生年金から国民年金への切り替えが必要です。

手続きは市(区)役所または町村役場で行うことができます。

申請タイミング

退職日の翌日から14日以内(提出者はご本人または世帯主)

持ち物

  • 年金手帳または基礎年金番号通知書

年金上乗せの選択肢

国民年金は月額5万円程度しかもらえないため、別途以下のような方法で年金をかさ増しする必要があります。結論としては、付加年金+iDecoで良いと思います。

  • 付加年金への加入 ※市区役所及び町村役場の窓口へ申請
  • 国民年金基金の納付 ※税控除も加味すると65〜75際までの受給で元が取れそうだった
  • iDecoへの加入 ※付加年金と国民年金基金の同時加入は不可です(付加保険料を支払った場合は国民年金基金への加入はできません)

    ※付加年金もしくは国民年金基金とiDecoに加入した場合は合算の上限が月68,000円です。iDecoとの同時加入は可能です 付加年金のメリデメは以下の通り。

  • 2年で元が取れる(月額400円で200円×納付月数の年金を受け取ることができる)

  • 老齢基礎年金の受給権がないと付加年金を受給できない 国民年金基金のメリデメは以下の通り。

  • 社会保険料控除の対象

  • 任意脱退できない(掛け金の増減は可能)

小規模企業共済への加入

退職金の積立として加入します。最大月7万円加入が可能で。掛け金は小規模企業共済等掛金控除として全額計上できるため、節税効果があります。

申請タイミング

開業後。申請先は都市銀行など様々な箇所で加入できます。

加入窓口の一覧はこちらを参照

提出書類

  • 開業届の控え(確定申告書の控えがないため開業届で代替)

iDecoへの加入

手続きに時間がかかるため、資料請求を事前にしておくと良いです。以下、SBI証券でiDeco講座を開設する前提で記載します。

申請タイミング

iDecoの申請は申請書類が届いた月から引き落としされるようです。2月加入したい場合は2月に書類送付する必要があります。

企業型確定拠出年金からの移換については時間がかかるようですが(最大3ヶ月程度)、加入後に移換もできるのでとりあえず加入して掛け金引き落としされるように申請が必要です。

提出書類

以下3点です。企業型確定拠出年金の脱退証明書には時間が掛かる可能性があるため、一旦は上の2点を提出することで掛け金が引き落とされます。

  • 個人型年金加入申出書(iDeCo申込書)
  • 確認書(iDeCo同意書)
  • 個人別管理資産移換依頼書(企業型確定拠出年金を移換するための書類) 企業型確定拠出年金脱退時には以下2点が1週間から1ヶ月半のうちに届くようなので、届いたら追って提出をします。

  • 確定拠出年金 加入者資格喪失のお知らせ

  • 確定拠出年金 加入者資格喪失手続完了通知書